Introduction
世界中でヒットした『最高の花婿』、続編『最高の花婿 アンコール』、
そして待望の第3弾でありシリーズの最後を飾る完結編が完成
2022年フランス映画興行収入ナンバーワン!最高にパワーアップした愛と笑いを届けるフィナーレへ
フランスで5人に1人が観たという、国民的大ヒットを飛ばした『最高の花婿』(2014)。フランスはロワール地方を舞台に、敬虔なカトリック教徒で保守的なヴェルヌイユ夫妻の4人の娘たちが、それぞれアラブ人、ユダヤ人、中国人、コートジボワール人と結婚したことから起こる異文化バトルをユーモアたっぷりに描き、日本でも大絶賛を浴びた。2019年には続編『最高の花婿 アンコール』ができその年のフランス映画興行収入No.1を獲得した。そしてさらには2022年、3部作として作られた続編はまさにフィナーレを飾る最終章。欠点だらけだが憎めないあの多国籍ファミリーが、さらなる大騒動と事件を抱えて帰ってくる!
前作で海外移住しようとした4人の婿たち家族を自分たちの住むシノンにつなぎ止めて老後は一安心・・・のクロードとマリー・ヴェルヌイユ夫妻。もうすぐ結婚40周年を迎える夫妻を祝おうと、娘たちは親戚一同大集結サプライズパーティーを計画。アルジェリア、イスラエル、中国、コートジボワールから一筋縄ではいかない強烈キャラの婿たちの両親が大集結で異文化バトルが更にヒートアップ。 この多国籍大ファミリーが一緒にパーティーを楽しめるのだろうか?
異文化問題をタブーからエンターテイメントへ ──
グローバル化が進む日本にこそ必要な物語
『最高の花婿』シリーズ前2作に続いて監督・脚本を手掛けたのは、フィリップ・ドゥ・ショーヴロン。カトリック教徒のフランス人である監督は、自身もアフリカ系の女性と結婚し、そのリアルな体験を今回も惜しみなく注ぎ込んだ。婿たちの国での仰天話や、民族間のギャップなどのデリケートな異文化問題を、強烈なジョークによって見事なエンターテイメントへと昇華させた。
大陸ならではの異文化ネタを、前作では客席から面白おかしく眺めていた私たちは気づく。今、まさに自分たちもその渦中にいることに。訪日外国人観光客と日本で働く外国人労働者の数が年々増加、我が国のグローバル化は驚くべき速さで進んでいる。そんな未来に不安を覚える人にこそ、この物語を届けたい。肌の色も違えば、衣食住の習わしも異なり、信じる神も相いれない者たちが、どうすれば平和で幸せに共存できるかを、楽しみながら学ぶことができるのだ。
〈違い〉を〈楽しむ〉から〈愛する〉へ ──
憧れの古城の地ロワールを舞台にフランスの名優と最旬キャストが再結集
前作と同じくヴェルヌイユ家の家長クロードには『レ・ブロンゼ』シリーズのクリスチャン・クラヴィエ、妻のマリーには『アステリックスとオベリクス/ミッション・クレオパトラ』のシャンタル・ロビー。フランス・コメディ界のキングとクイーンと称えられる2人、そして今回は婿たちの親が世界中からシノンに集結。婿たち同士のバトルもヒートアップ。
〈違い〉を〈楽しむ〉から〈愛する〉へと進化したヴェルヌイユ家のように、ありのままの相手を受け入れ、コミュニケーションを深めることで、人生はもっと豊かになると気づかせてくれる、世界平和はこうあるべき?物語。
エンド曲は、フランスの国民的歌手ジョニー・アリディの「血のための血」。その歌詞「私たちは似ている 同じ血が流れている」は心にしみる。
Story
海外移住すると騒いでいた娘夫婦たちを自分の住む街シノンにつなぎ留めて一安心のクロードとマリー夫妻。クロードは売れない本の執筆活動に余念がない。
そんなクロードは婿たちとのお付き合いの嵐に悩まされている、やれ安息日だ、絵の個展だ、芝居の初日だとしょっちゅうお呼びがかかる・・・。これでは執筆に専念できないと悩みの多いクロード。
一方、独特な絵画を描き続ける三女セゴレーヌの個展が開かれて、ドイツ人の富豪で著名なアートの収集家ヘルムートがセゴレーヌの作品に興味を持つ。ヘルムートが所有するNYのギャラリーで個展も夢ではない ?と話しを持ちかけられて夢のようだと喜ぶヴェルヌイユ夫妻とセゴレーヌ。夫のシャオはヘルムートの出現に内心穏やかではない。
セゴレーヌとシャオの夫婦仲がぎくしゃくし出したことで、離婚第1号になるかも、と内心ほくそ笑むクロード。ヘルムートはリッチでイケメン、婿にはぴったりなのだと。しかしヘルムートの目的は意外なところにあったのだ・・・。そんな中、もうすぐ結婚記念日40周年を迎えるクロードとマリー夫妻をお祝いしようと娘たちはサプライズパーティーを計画して婿たちに話を持ちかける。
それは婿たちの両親もみんな呼び寄せて大親戚一同集まるパーティーを計画してお祝いすることだった。果たしてイスラエル、アルジェリア、中国、コートジボワールから集結した両親たちが無事一緒にパーティーを楽しめるのだろうか?
Cast

  • クリスチャン・クラヴィエ/Christian Clavier
    パパ/クロード・ヴェルヌイユ役
    1952年5月6日パリ生まれ。高校時代からの友人とコメディグループ〈レ・スプレンディド〉を結成し、演劇活動を始める。'78年にグループが主演で公開された『レ・ブロンゼ/日焼けした連中』はシリーズ化されるほどの大ヒットを飛ばす。ジャン・レノと共に主演した『おかしなおかしな訪問者』(93)はフランス映画の観客動員数歴代10位、ジェラール・ドパルデューとタッグを組んだ『アステリックスとオベリクス/ミッション・クレオパトラ』(2002)は歴代7位と、コメディを通り越しフランス映画界において最も人気のある俳優のうちの一人であり、現在も精力的に活動を行なっている。
  • シャンタル・ロビー/Chantal Lauby
    ママ/マリー・ヴェルヌイユ役
    1948年3月23日、フランス南東部の町ギャップ生まれ。'87年にアラン・シャバらと共にコメディ・グループ〈レ・ニュル〉を結成、グループによるテレビ・シリーズは人気を博し、映画にも進出、『カンヌ映画祭殺人事件』(94)はカルト的な人気を誇った。シャバが監督業もこなすようになると、女優としても出演し『ディディエ』(97)、『アステリックスとオベリクス/ミッション・クレオパトラ』(2002)は大ヒットを記録した。現在も、映画を中心に精力的に活動中。
  • フレデリック・ベル/Frédérique Bel
    長女/イザベル役
    1975年3月24日アヌシー生まれ。ストラスブールで演劇を学んだ後、パリでのモデル活動やテレビCM出演などで知名度を上げる。2000年からテレビドラマや映画にも精力的に出演しており、総出演作は50を超える。代表的なテレビCMにジャン=ピエール・ジュネ監督によるフランス電力会社のコマーシャル(02)、映画ではセドリック・クラピッシュ監督『ロシアンドールズ』(05)など。
  • メディ・サドゥアン/Medi Sadoun
    長女の夫/ラシッド・ベナセム役
    1973年7月8日パリ生まれ。アルジェリア系の父とイタリア系の母を持ち、移民が多いパリの13区で育つ。'99年に歌手として活動を開始し、のちにテレビ業にも進出。スケッチ・コメディ"Kaïra Shopping"(2009)で広く世に知られ、映画化もされるほどの人気を博す。『最高の花婿』の記録的ヒットの後にオファーが殺到し、"alibi.com"(17)、"La Deuxième Étoile" (17)等のフレンチ・コメディに出演。'19年には今作でも共演しているフレデリック・チョウの自伝映画"Made in China"にも親友役で出演している。
  • アリス・ダヴィ/Alice David
    次女/オディル役
    1987年3月22日パリ生まれ。『真夜中のパリでヒャッハー!』(2014)、『世界の果てまでヒャッハー!』(2015)などに出演。
  • アリ・アビタン/Ary Abittan
    次女の夫/ダヴィド・ヴェニシュ役
    1974年1月31日パリ生まれ。モロッコ系の父とチュニジア系の母を持つ。舞台やテレビでの活動の後、エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督やガッド・エルマレー監督の映画作品に出演。2016年には『おかしなおかしな訪問者』の3部作完結編でもクリスチャン・クラヴィエと共演した。フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督とは、他にも"Débarquement immédiat"(16)、"À bras ouverts"(17)において主演を務めている。
  • エミリー・カーン/Emilie Caen
    三女/セゴレーヌ役
    フランス生まれ。パリ近郊にある数々の名優が所属したピグマリオン・スタジオで演技を学んだのちに、1998年に舞台デビュー。現在は、映画とテレビの両方で精力的に活動している。エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督『最強のふたり』(12)でのギャラリースタッフ役の演技が有名。
  • フレデリック・チョウ/Frédéric Chau
    三女の夫/シャオ・リン役
    1977年6月6日ベトナム・ホーチミン生まれ。生後間もなく中国系の両親と共にパリに移り住む。モデルや客室乗務員として働いた後、活動を演劇に移す。2006年にはフランスで有名なスタンダップ・コメディーショー『ジャメル・コメディ・クラブ』で唯一のアジア系コメディアンとして知名度をあげる。他の出演作品に、リュック・ベッソン監督の『LUCY/ルーシー』(14)、『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(20)など。'19年にはアジア系フランス人である彼の半自伝映画"Made in China"が公開され、主演を務めた。
  • エロディー・フォンタン/Elodie Fontan
    四女/ロール役
    1987年7月9日パリ近郊ボンディ生まれ。幼少期から有名企業のテレビ・コマーシャルに出演する子役として活動。2009年にフランスで人気を博したテレビ・シリーズ"Clem"にレギュラー出演し、知名度をあげる。近年では大人気漫画のフランス版リメイク『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(19)でヒロインを演じている。
  • ヌーム・ディアワラ/Noom Diawara
    四女の夫/シャルル・コフィ役
    1978年12月26日パリ生まれ。マリ出身の両親を持つ。22歳の時に、フランスのテレビ局キャナル・プリュスにインターン生として番組構成等を担当。その後、俳優としてもテレビ出演を続ける。2007年より『ジャメル・コメディ・クラブ』に出演し、スタンダップ・コメディアンとして知名度を上げる。現在もテレビを中心に活躍中。
  • パスカル・ンゾンジ/Pascal Nzonzi
    四女の婿シャルルのパパ/アンドレ・コフィ役
    1950年9月21日コンゴ共和国生まれ。コンゴ・ブラザヴィルの演劇学校を出た後、パリのコンセルヴァトワールでも学ぶ。主な作品にジム・ジャームッシュ監督『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)など。『おかしなおかしな訪問者』の三部作完結編(2016)においても、クリスチャン・クラヴィエと共演している。
  • サリマタ・カマテ/Salimata Kamate
    シャルルのママ/マドレーヌ・コフィ役
    1964年コートジボワール生まれ。地元で演技を学び、コートジボワールで女優として活躍する傍、フランスにおいても2011年の『最強のふたり』のヒットにより注目される。現在は、コートジボワールに住みつつ出演オファーがきた時のみフランスに滞在するという生活を送っている。
クリスチャン・クラヴィエ/Christian Clavier
パパ/クロード・ヴェルヌイユ役
1952年5月6日パリ生まれ。高校時代からの友人とコメディグループ〈レ・スプレンディド〉を結成し、演劇活動を始める。'78年にグループが主演で公開された『レ・ブロンゼ/日焼けした連中』はシリーズ化されるほどの大ヒットを飛ばす。ジャン・レノと共に主演した『おかしなおかしな訪問者』(93)はフランス映画の観客動員数歴代10位、ジェラール・ドパルデューとタッグを組んだ『アステリックスとオベリクス/ミッション・クレオパトラ』(2002)は歴代7位と、コメディを通り越しフランス映画界において最も人気のある俳優のうちの一人であり、現在も精力的に活動を行なっている。
シャンタル・ロビー/Chantal Lauby
ママ/マリー・ヴェルヌイユ役
1948年3月23日、フランス南東部の町ギャップ生まれ。'87年にアラン・シャバらと共にコメディ・グループ〈レ・ニュル〉を結成、グループによるテレビ・シリーズは人気を博し、映画にも進出、『カンヌ映画祭殺人事件』(94)はカルト的な人気を誇った。シャバが監督業もこなすようになると、女優としても出演し『ディディエ』(97)、『アステリックスとオベリクス/ミッション・クレオパトラ』(2002)は大ヒットを記録した。現在も、映画を中心に精力的に活動中。
フレデリック・ベル/Frédérique Bel
長女/イザベル役
1975年3月24日アヌシー生まれ。ストラスブールで演劇を学んだ後、パリでのモデル活動やテレビCM出演などで知名度を上げる。2000年からテレビドラマや映画にも精力的に出演しており、総出演作は50を超える。代表的なテレビCMにジャン=ピエール・ジュネ監督によるフランス電力会社のコマーシャル(02)、映画ではセドリック・クラピッシュ監督『ロシアンドールズ』(05)など。
メディ・サドゥアン/Medi Sadoun
長女の夫/ラシッド・ベナセム役
1973年7月8日パリ生まれ。アルジェリア系の父とイタリア系の母を持ち、移民が多いパリの13区で育つ。'99年に歌手として活動を開始し、のちにテレビ業にも進出。スケッチ・コメディ"Kaïra Shopping"(2009)で広く世に知られ、映画化もされるほどの人気を博す。『最高の花婿』の記録的ヒットの後にオファーが殺到し、"alibi.com"(17)、"La Deuxième Étoile" (17)等のフレンチ・コメディに出演。'19年には今作でも共演しているフレデリック・チョウの自伝映画"Made in China"にも親友役で出演している。
アリス・ダヴィ/Alice David
次女/オディル役
1987年3月22日パリ生まれ。『真夜中のパリでヒャッハー!』(2014)、『世界の果てまでヒャッハー!』(2015)などに出演。
アリ・アビタン/Ary Abittan
次女の夫/ダヴィド・ヴェニシュ役
1974年1月31日パリ生まれ。モロッコ系の父とチュニジア系の母を持つ。舞台やテレビでの活動の後、エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督やガッド・エルマレー監督の映画作品に出演。2016年には『おかしなおかしな訪問者』の3部作完結編でもクリスチャン・クラヴィエと共演した。フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督とは、他にも"Débarquement immédiat"(16)、"À bras ouverts"(17)において主演を務めている。
エミリー・カーン/Emilie Caen
三女/セゴレーヌ役
フランス生まれ。パリ近郊にある数々の名優が所属したピグマリオン・スタジオで演技を学んだのちに、1998年に舞台デビュー。現在は、映画とテレビの両方で精力的に活動している。エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督『最強のふたり』(12)でのギャラリースタッフ役の演技が有名。
フレデリック・チョウ/Frédéric Chau
三女の夫/シャオ・リン役
1977年6月6日ベトナム・ホーチミン生まれ。生後間もなく中国系の両親と共にパリに移り住む。モデルや客室乗務員として働いた後、活動を演劇に移す。2006年にはフランスで有名なスタンダップ・コメディーショー『ジャメル・コメディ・クラブ』で唯一のアジア系コメディアンとして知名度をあげる。他の出演作品に、リュック・ベッソン監督の『LUCY/ルーシー』(14)、『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(20)など。'19年にはアジア系フランス人である彼の半自伝映画"Made in China"が公開され、主演を務めた。
エロディー・フォンタン/Elodie Fontan
四女/ロール役
1987年7月9日パリ近郊ボンディ生まれ。幼少期から有名企業のテレビ・コマーシャルに出演する子役として活動。2009年にフランスで人気を博したテレビ・シリーズ"Clem"にレギュラー出演し、知名度をあげる。近年では大人気漫画のフランス版リメイク『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(19)でヒロインを演じている。
ヌーム・ディアワラ/Noom Diawara
四女の夫/シャルル・コフィ役
1978年12月26日パリ生まれ。マリ出身の両親を持つ。22歳の時に、フランスのテレビ局キャナル・プリュスにインターン生として番組構成等を担当。その後、俳優としてもテレビ出演を続ける。2007年より『ジャメル・コメディ・クラブ』に出演し、スタンダップ・コメディアンとして知名度を上げる。現在もテレビを中心に活躍中。
パスカル・ンゾンジ/Pascal Nzonzi
四女の婿シャルルのパパ/アンドレ・コフィ役
1950年9月21日コンゴ共和国生まれ。コンゴ・ブラザヴィルの演劇学校を出た後、パリのコンセルヴァトワールでも学ぶ。主な作品にジム・ジャームッシュ監督『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)など。『おかしなおかしな訪問者』の三部作完結編(2016)においても、クリスチャン・クラヴィエと共演している。
サリマタ・カマテ/Salimata Kamate
シャルルのママ/マドレーヌ・コフィ役
1964年コートジボワール生まれ。地元で演技を学び、コートジボワールで女優として活躍する傍、フランスにおいても2011年の『最強のふたり』のヒットにより注目される。現在は、コートジボワールに住みつつ出演オファーがきた時のみフランスに滞在するという生活を送っている。
クリスチャン・クラヴィエ(クロード・ヴェルヌイユ役)
Interview
この3度目となる冒険に再出発するのはいかがでしたか?
私はフィリップ・ド・ショーヴロン監督を完全に信頼しています。彼は素晴らしい作家であり、私の役についても、いつも大変素晴らしく描いてくれるのです。フィリップはシリーズを更新する仕方をとてもよく心得ています。つまり、義理の両親の登場で、最初のエピソードの新鮮さを取り戻せるのです。なぜならある意味で、彼らは義理の息子たちの代わりとなるからです。その上、若いドイツ人の登場は素晴らしいアイデアです。つまり、彼の目的を誤解することは、必然的にシチュエーション・コメディを誘発するからです。この新しい登場人物たちを前に、クロード・ヴェルヌイユは自分の罠にハマり、彼の先入観はとても高くつくことになるのです。
毎回、どのようにしてクロード・ヴェルヌイユになるのでしょうか?
4、5週間の撮影の初期段階で、私は台本について演劇的なアプローチをするのです。私の台詞の全てを学び、それぞれの状況に入り込み、さらに他の登場人物に関わる全てのことを理解させるのです。撮影現場に到着する頃にはあまりに練習しているので、もう演技をしなくても私はクロード・ヴェルヌイユなのです!それはとても大事なことです。なぜなら私がアイデアを生んだり、台詞の外でキャラクターを生かしたり、最大限に状況を進化させることができるからです。その上、各シーンの終わりには、フィリップは私に即興の演技や何らかの提案をすることも許してくれます。彼は私に演技の指示はしますが、私からは自分の個性をつけて演技を返すのです。これはいつも良く機能しています。
シャンタル・ロビーはいつも理想的なパートナーですか?
彼女は実際、驚異的な演技ができる仲間です。なぜなら、私たちは互いにとても楽しんでますし、大きな信頼関係を築いているからです。私は彼女が女性としても、仕事のパートナーとしても大好きです。
あなたは若い俳優たちにとって、先輩的ですか?
はい、少しは。若い人たちは彼らの経験を豊かな糧とするために、古い獣に関わろうとやってくるのです。年齢が自然にそうさせ、面白く作用します。私にエネルギーを与えるし、伝達という義務が湧いてきます。私自身も俳優の仕事を学び、フィリップ・ノワレ、ミシェル・セロー、リノ・ヴァンチュラといった大物たちに、とても良く迎えてもらいチャンスを得ました。現在、私は経験のある俳優になりましたから、自分が見たり学んだりしたことを話すのは当然だと思います。それは次世代へのお返しのようなものです。
シャンタル・ロビー(マリー・ヴェルヌイユ役)
Interview
三部作の冒険に再出発することは、当然のことでしたか?
ヴェルヌイユ夫妻はすっかり私の家族になったので、家族のメンバーに再会することはいつも好きなことです。彼らが生活をして、滑稽な試練を乗り越えるのを見ることは大好きです。フィリップ・ド・ショーヴロン監督が冒険を続けると言った時、私はどのように実現できるのか、気になって楽しみにしていました。というのも、監督はいつも登場人物を生かすため、楽しい大波乱を見つけることができるからです。
脚本を読んだ時のあなたの反応は?
心地よく驚かされました。娘の義理の両親たちを発見できるのは、素晴らしいと思いました。その出会いの全てはそれほど軽快でもなく、いくつか危険をもたらすことも理解しました。しかしそれは、特に全ての娘婿たちを取り巻く世界や、出身について理解することを助けます。その上、家族のメンバーは、それぞれに世界を持ってます。クロード・ヴェルヌイユは執筆すること、マリーは疑うことなどです。これらの要素は登場人物たちを、さらに深掘りすることになるので、私は大変気に入りました。こうして私は自分についても、全く予想していなかった出来事が起こることを発見しました。この冒険に本当の新鮮さをもたらす力のあるサプライズでした。
脚本を読む前に不安はありましたか?
もちろん私は2作目までで、私たちが問題の全てをすでに問いかけているのか、そして意味のない繰り返しがないかと不安でした。俳優はいつも同じことを繰り返していないか自問しますから。しかし、私は脚本を読んで安心しました。この脚本は他の場所へと連れ出しますし、感動的な時間も作り出します。
マリー・ヴェルヌイユ役をどう理解していますか?
3作も映画を撮ると、マリーという人物を知り尽くしています。彼女はいつも状況を改善しようとする、感じの良い平凡な女性です。彼女は私から見ると、クラシックな母親を体現しています。つまり、確かさと不安さを抱えていますが、突然に人生や彼女の娘たちに身を任せてしまう面もあります。この解放の気持ちが、彼女にたくさんの発見をさせ、他の生き方をすることを学ばせ、新しい人生を味わう冒険をさせます。
クリスチャン・クラヴィエと毎回再会することは、どんな気持ちですか?
大変に大きな喜びです。なぜなら私たちは強い共犯関係で結ばれていますから。長年連れ添ったカップルのように、私たちはすぐに私たちの習慣を取り戻します。彼の場合はちょっと神経質だけど、とても感じの良いというところで。マリーの場合は、彼が言ったこと全てを見張るような困った傾向があります。このカップルは他の多くのカップルと似ています。年を重ねるにつれて、女性たちは旦那に対してとても母性的になるのです。まるで看護婦や学校の先生のように。
フィリップ・ド・ショーヴロンはどんな監督ですか?
彼は控え目でありながら、毅然とした人です。完全にしたいことを知っているので、もしも台詞の言い回しが彼の頭の中のイメージと違う時は、すぐに指摘してくれるのです。しかし同時に、俳優たちに大きな自由も与えてくれます。彼は私たちの最初の観客です。カメラの後ろで、監督が子供のように笑っているのを見る時、私たち俳優は元気付けられますし、演技が良かったということで力を与えてくれるのです。
監督:フィリップ・ド・ショーヴロン
Interview
『最高の花婿』『最高の花婿 アンコール』の大ヒットで3作目へのプレッシャーはありましたか?
いつも成功は良い体験となりました。これだけの観客を映画館に集めた時(1作目のフランス国内の動員は1300万人、2作目は700万人)、そして、このいかにもフランス的な物語で、世界の観客を集めることができたことは(1作目の海外の動員は970万人、2作目は400万人)素晴らしいことです!アフリカで、欧州諸国や日本で、映画は人々を楽しませました。 もちろん最初の2作と同じ記録に到達することが大変であることはわかっていますが、成功は制作の自由を大きくします。
『最高の花婿』の3作目のプロジェクトは、いつ生まれましたか?
アイデアはまたこの俳優たちと仕事をしたいという気持ちに導かれて、自然な形でやってくるものです。 2作目の後は、この欲求があまりに明白だったので、3作目はすぐの方が良いと思っていました。これだけの多忙な俳優たちを一度に集結させるのは容易なことではないので、脚本に取り掛かる前に、3作目の撮影の時期を決定するためにも、私たち全員のスケジュールをすでに調整していました。
3作目から映画は【シリーズ】となります。守っているコードは?
一般に映画の3作目で私たちがしばしば見出すことは、物語が新しくならないことです。この罠に落ちないために、私は何としてでも新しい登場人物たちが必要だと思っていました。だから、7人の人物を付け加えたのです。すなわち、息子方の両親6人と、若い求婚者のヘルムートです。【シリーズ】の精神を保持しなければならないとしたら、この7人の新参者とともに、当然それだけ新しい問題が発生してきます。コメディ作品におけるこの原理から出発をしながら、登場人物たちはクロード・ヴェルヌイユを困らせる理由がありました。
主要な俳優たちは、登場人物に関してアイデアを出しますか?
はい、この映画の大部分の俳優たちは作品の作り手でもあり、私たちが差し向かいで脚本を読む時には、私にアイデアを提案してくれます。私は彼らの提案を盛り込みながら、脚本を練り直しました。反対にひと度撮影が始まると、脚本はもうそんなに動くことはありません。このジャンルの映画は“アドリブ”はあまりないのです。クリスチャン・クラヴィエだけは各シーンの撮影の終わりに、いくつかヴァリエーションを提案することがありますが、彼はあまりに役に入り込んでいるために、彼のアドリブは、まるで最初から脚本で書かれているようなものでした。
撮影現場において、スタッフ全員の再会はどのようなものでしたか?
みな互いに尊敬し合っているので、喜びに満ちた現場でした。クリスチャン・クラヴィエとシャンタル・ロビーは互いに大変感嘆し合うような仲で、カメラの前でもセットの外でも、アドリブを交えながら、一緒に演じるのが大好きなのです。「婿たち」は私生活でもかなり仲良しですし、娘たちはとても仲間意識が強いです。つまり、彼らの間にはとても良い雰囲気が流れていますが、皆プロ意識も強いので、合宿のようになるわけではありません。
若いドイツ人のヘルムートは?
彼は映画の悪役です!物語が再び口火を切るためには、新しい争点が必要だったのですが、この青年は危険を体現しています。なぜなら、彼はイケメンでリッチ、教養もあり、セゴレーヌはつい彼に興味を持ってしまいます。クロード・ヴェルヌイユから見れば、彼は理想的な婿です。この役を演じたヨハン・へーゲルは演技者としての才能以外に、ヘルムートを演じるための必須条件となる完璧なフランス語が話せました。
私たちの時代の反映は前2作よりも稀になりました。それは物語の非時間制を強化するためですか?
違います。現在流れているニュースはむしろ陰気なので、コメディの要素としてあまりインスパイアを与えないのです。それを超えたところで、私たちの時代に寄りかかる必要がなどないほどに、この物語は十分に強いと信じています。
この映画のモラルとは、最後の砦のように家族を見せることでしょうか?
人々はヴェルヌイユ家に愛着を持っていて、彼らが言い争いをするのを見るのが好きですが、とりわけ彼らが団結することを望んでいます。というのも、家族とはそういうものだからです。つまり、互いに強く愛し合って、喧嘩して、離れたりはするけれど、破壊できない関係によって繋がっているのです。だからこそ、この映画はジョニー・アリディの歌で終わるのです。それは彼の息子のダヴィッドが書いた「血のための血」という曲です。
共同脚本家:ギィ・ローラン
Interview
あなたはすぐに3作目に取りかかりたいと思いましたか?
はい。というのも家族が再会するというアイデアを気に入りましたし、ドラマの中に婿の両親を皆呼び寄せるために、ヴェルヌイユ夫妻の結婚40年を祝うというアイデアは、インスパイアを与えるものでもありました。観客からは定期的に、なぜ(義理の両親のひと組である)コフィさんだけしか見せないのかと聞かれていましたから、他のカップルを見せながら、様々な文化の違いで戯れるための良い機会となりました。芸術と哲学に情熱を傾ける新しいドイツ人の登場人物を仲間に入れるのは、随分と前からあったアイデアでした。そのアイデアとは、彼は理想的な娘婿風の若者として現れ、年上の女性が好きになるというものでした。
結婚記念日のようなパーティーは、コメディ作品にとって良き原動力になりますか?
ここでは何よりも、ヴェルヌイユの親たちのドラマを集結させるための機会です。その上、娘たちに役割を与えます。彼女たちがこのイベントを企画し、オーガナイズするのですから。しかし、それはまず映画に本当に新しいことを導入させるためでした。つまり、義理の両親たちです。
これだけの登場人物をうまく操るためには、どのように脚本の仕事を進めたのでしょうか?
それは少し目眩を与えます。なぜなら、(登場人物の人数が多いために時間がかかり)一人一人がスクリーンに出てくるための時間への影響がありますから。フィリップと私は経験に基づいた方法で、楽しみ、手探りで進めます。私たちは撮影シーンや取り違いの状況を想像しながら、徐々に脚本の構成を整理していくのです。ディスカッションや投げかけたアイデアの先に、キャラクターたちの輪郭が浮かび上がります。登場人物のプロフィールや仕事によって彼らの人間像が描かれます。私たちは絶えず脚本について行ったり来たりを繰り返すのです。こうすることで、くどい繰り返しを避けたり、それぞれの人物に対して新しい要素を物語に付け加え、映画のバランスを取ることができます。全てのシーンがあるべき場所に配置された時、脚本はほとんど自然に流れてゆくものです。
このシリーズの仕事をすることで、最も楽しいことは?
本質を保持することです。つまり、ユーモアとともにフランスにおける多国籍の結婚に関する問題に近づくということです。この社会的なテーマは1980年代以来、人々の会話を促してきましたが、このシリーズが登場する以前だと、映画が人間ドラマや政治的な視点を通して扱ってきたことなのです。コメディ映画にすることで物事をドラマティックにすることなく、軽さの形を与えることができるのです。そして多国籍の問題はもはやフランスだけの問題ではなく、世界に通用するテーマとなりつつあります。
“からかい”というカーソルを、どのように位置付けていますか?
全ての人をからかうというのが、最初のアイデアでした。もちろん人を傷つけることはせずにです。大部分は、私たちのカーソルの位置は良い場所に置かれたと思います。しかし、時々自問することもありました。なぜなら誰かを笑わせることは、他の人にショックを与えることにもなるからです。それは前2作でもありえることでしたが、その場合には、プロデューサーのロマン・ロイトマンや映画配給者、俳優たちに意見を尋ねます。だから毎回、少し強めのからかいがある場合は、それが実際に採用される前にはいくつものフィルターを通るのです。
今の時代でも、まだ全てを笑うことが可能だと思いますか?
私たちはもう何も言えないし、私たちの社会はピューリタニズム(潔癖主義)が侵攻していると言う傾向があります。しかし、相反する力というのも存在できると私は考えます。 1作目の時は私たちがもはや持っていない向こう見ずさで、脚本を書いていました。そして9年が経ち、社会はとても変容しました。力強い動きが通過して、素早い展開を目にしてきたのです。ですから、私たちは少しだけ、より注意するようになりました。
Staff
監督・脚本 フィリップ・ドゥ・ショーヴロン
Philippe de Chauveron
1965年11月15日パリ生まれ。パリ高等映画学校を卒業のち、短編映画"Gros"で監督デビュー。その後は、コメディ脚本家として活動し、ジャン・レノ主演『ボクサー/最後の挑戦』(95)等を執筆。'99年に"Les Parasites"で長編映画監督デビュー後、2011年に漫画が原作の"L’Élève Ducobu"が大ヒットし、続編も製作された。'14年に公開された『最高の花婿』はフランス国内で1300万人の動員、フランス映画歴代動員記録6位へとランクインするメガヒットとなった。
| フィルモグラフィー 抜粋 |
1995年 | ボクサー/最後の挑戦(Les Truffes/脚本)
2003年 | La Beuze (脚本)
2009年 | Neuilly sa mère(脚本)
2012年 | Les Seigneurs
2014年 | 最高の花婿(Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu ?)
2016年 | Débarquement immédiat
2017年 | À bras ouverts
2019年 | 最高の花婿 アンコール(Qu'est-ce qu'on a encore fait au Bon Dieu ?)
2022年 | 最高の花婿 ファイナル (Qu’est ce qu’on a TOUS fait au Bon Dieu ?)
共同脚本 ギィ・ローラン
Guy Laurent
1965年6月26日パリ近郊メゾン=アルフォール生まれ。パティシエの国家資格を取得した後、国立高等学校にて芸術を学ぶ。短編映画の製作やゲームデザイナー等の職業を経て、エミリー・ドゥルーズ監督『新しい肌』(99)のシナリオを担当し、脚本家デビュー。同作はカンヌ国際映画祭のある視点部門に選ばれた。フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督とは2003年に映画"La Beuze"で共同脚本をした時からの付き合いであり、今作にいたるまで5本の映画で同監督の脚本を担当している。