2000年2月、フランス南西部トゥールーズ。38歳の女性スザンヌ・ヴィギエが3人の子供を残して忽然と姿を消した。夫ジャックに殺人容疑がかけられるが、明確な動機がなく、決め手となる証拠は見つからない。ジャックは第一審で無罪となるがすぐさま検察に控訴され、翌年の第二審で、再び殺人罪を問う裁判が行われる。
無実を確信するシングルマザーのノラは、敏腕弁護士デュポン=モレッティに弁護を懇願。自らも助手となり250時間の電話記録を調べるうちに、新たな真実と疑惑に気がつくが…。
ヒッチコック狂による“完全犯罪”か、それとも冤罪か?フランス全土の関心を集めた未解決事件を映画化。“嘘”をついているのは誰なのか?捻じれた裁判の行方は?破格のスリルと臨場感に満ちた法廷のバトル
フランスで実際に起こった未解決の“ヴィギエ事件”を映画化。“ヒッチコック狂による完全犯罪”とメディアがセンセーショナルに報じて大衆の好奇心を煽り立てるなか、本当に殺されたのかも判然としないまま開かれた“殺人事件”をめぐる裁判はフランス中の注目を集めた。スザンヌは本当に夫に殺害されたのか?刑事、ベビーシッター、愛人たちの食い違う証言。事件の真相とは―?
疑惑だらけの証人たちと対峙する白熱の法廷シーン、事件によって人生を狂わされたヴィギエ一家の苦悩、真実を求めて事件にのめりこむ主人公・シングルマザーのノラ…。裁判の内外で繰り広げられる息をのむスリリングな展開と人間模様に、一瞬たりとも目が離せない。
敏腕弁護士とシングルマザーが前代未聞の裁判に挑む!人気女優マリーナ・フォイスと名優オリヴィエ・グルメが迫真の演技で体現
本作は口コミで広がり、本国フランスで40万人を動員する大ヒットを記録した。フランスの辛口の批評家からも絶賛されたアントワーヌ・ランボー監督は、確かな演出力と巧みなストーリーテリングで、フランス特有の司法制度の問題点、“歪んだ正義”の危うさをあぶり出す。
主人公ノラを演じるのは、コメディエンヌとしても人気の高い実力派女優マリーナ・フォイス。本作の公開後、法務大臣に抜擢された実在の弁護士デュポン=モレッティに扮するのは、ダルデンヌ兄弟の『息子のまなざし』の名優オリヴィエ・ グルメ。すべての運命を決するクライマックスの弁論シーンで、オリヴィエ・グルメが披露する渾身のスピーチは圧巻、心を揺さぶるに違いない。
2000年2月27日
スザンヌ・ヴィギエ失踪
2000年3月1日
ヴィギエ、妻の捜索届を警察に提出
2000年3月8日
ヴィギエ、妻の誘拐・監禁被害届を提出
2000年3月10日
ヴィギエ勾留、家宅捜査
2000年5月11日
ヴィギエ、妻殺害の容疑で、予審決定
2000年5月12日―2001年2月
ヴィギエ、未決勾留
2007年2月22日
ヴィギエ、妻殺害の容疑で重罪院に出頭
2009年4月20日―4月30日
オート=ガロンヌ県トゥールーズの第一審でヴィギエ無罪。検察側控訴
2010年3月1日―2010年3月20日
タルヌ県アルビでの第二審
映画の編集に携わりながら、監督としても短編映画を製作。製作した4本の短編映画はランブイエ映画祭をはじめとして数々の国内映画祭にて賞を獲得した。その中でも"Vos Violences"(13)ではデュポン=モレッティ弁護士を主演として起用し、10を超える賞に輝いた。そして、実際の裁判からヒントを得て、現代司法のあり方を巡って構想を練った長編デビュー作である今作は小規模ながら口コミが広がり、フランス国内で40万人の観客動員数に達した。
1970年1月21日パリ近郊ブローニュ=ビヤンクール生まれ。7歳より演劇を始める。パリの名門フロラン演劇学校で学び、学校の仲間たちと共に'96年、コメディ・グループ「Les Robins des Bois(ロビンフッドの仏語訳)」を結成、同グループのテレビ・シリーズは人気を博した。その後は役者として映画にも進出。フランスで記録的ヒットを樹立した『アステリックスとオベリクス/ミッション・クレオパトラ』(2002)や自らのコメディ・グループによる映画"RRRrrr!!!"(04)などで好演を魅せた。'11年、カンヌ国際映画祭においてグランプリを獲得したマイウェン監督「パリ警視庁:未成年保護特別部隊」ではシリアスな演技で臨み、セザール賞最優秀女優賞にノミネートされた。近年でも夫婦の離婚を描いたコメディ "Papa ou Maman"(15)はフランス国内で約300万人、『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』(18)は400万人の観客動員数を記録。現在、フランスにおける最も有名な女優の一人であり、同時にモデルとしても活躍し続けている。
1963年7月22日ベルギー、ナミュール生まれ。リエージュ王立コンセルヴァトワールで舞台芸術を学び、フランスでも演劇を学んだ後、ベルギーに戻り、ブルッセルで演劇活動を行う。その後ダルデンヌ兄弟と出会い、'96年の『イゴールの約束』で本格的に映画デビュー。パルムドールを受賞した『ロゼッタ』(99)、『ある子供』(2005)を含め、後のダルデンヌ監督の作品にほぼ全て出演している。同監督以外にも、ジャック・オーディアール監督『リード・マイ・リップス』(01)、ミヒャエル・ハネケ監督「タイム・オブ・ザ・ウルフ」(03)など、ヨーロッパを代表する映画監督の作品に度々出演。近年では、黒沢清監督『ダゲレオタイプの女』(16)、ラウル・ペック監督『マルクス・エンゲルス』(17)で好演している。
1965年7月20日パリ生まれ。ストラスブール国立演劇学校で演技を学んだ後、'97年、"J'ai horreur de l'amour"で映画デビュー。レオス・カラックス監督『ポーラX』(99)やセザール賞有望男優賞を獲得した"Haut les cœurs!"(99)で注目される。主演映画『ハリー、見知らぬ友人』(2000)が同年セザール賞を複数受賞すると、一気に有名俳優の仲間入りを果たした。その後はモントリオールに移り住み、ケベック州の映画にも出演する傍ら、フランス映画においても精力的に活動を重ねている。
1962年トゥールーズ生まれ。フロラン演劇学校、フランス国立高等演劇学校で演技を学ぶ。舞台で活躍する傍、’84年に映画デビュー。『プロヴァンス物語/マルセルのお城』(90)でセザール賞優秀新人賞にノミネート。他の出演作として『大統領の料理人』(2013)『天国でまた会おう』(19)など。舞台、テレビドラマ、映画で常に活躍し続けている。
1987年メーヌ=エ=ロワール県ソーミュールにアメリカ人の父とイギリス人の母のもと生まれる。ナントとパリのコンセルヴァトワールで演技を学んだ後、2011年、"Avant l’aube"で映画デビュー。'12年の『カミーユ、恋はふたたび』ではリュミエール賞最優秀新人女優賞を獲得し、注目される。主な出演作に「私はパリジェンヌ」(15)、「ブラッディ・ミルク」(17)がある。コメディからサスペンスまで幅広いジャンルの映画に出演するフランスで注目される若手女優の一人。
1997年パリ生まれ。9歳より演劇のキャリアをスタート。国内人気ドラマ"Les Revenants"(2012-15)で注目される。本作品公開後もセリーヌ・シアマ監督『燃ゆる女の肖像』(19)など、注目作に出演を続けている。
1944年4月8日フランス領アルジェリア、オラン生まれ。'62年にフランスへ渡り俳優デビュー。代表作にクロード・シャブロル監督『最後の賭け』(97)、アラン・シャバ監督『アステリックスとオベリクス/ミッション・クレオパトラ』(2002)等。半世紀以上に渡って俳優として活躍し続づけている。
1982年7月20日カメルーン生まれ。パリ郊外オルネー=スー=ボワで育つ。25歳で演技の勉強を始め、2010年に映画デビュー。'18年、ラジ・リ監督『レ・ミゼラブル』では市長役を演じた。アントワーヌ・ランボー監督作には短編映画"Vos Violences"(13)以来、二度目の出演となる。
トゥールーズを拠点にする舞台俳優。娘のレア・フェネールは映画監督であり、「旅芸人と怪物たち」(2015)では、娘の監督作に出演を果たした。
1953年9月1日リヨン生まれ。'78年舞台デビュー後に、'82年より映画俳優としてもキャリアをスタート。主な出演作にパトリス・ルコント監督『タンデム』(87)、『仕立て屋の恋』(89)がある。
1961年ノール県、モブージュで労働者の父と家政婦の母との間に生まれる。'84 年より弁護士の職につき、'87年に初めての無罪を勝ち取る。2018年時点で、フランス国内での記録である146の無罪に貢献。俳優としても活動をしており、映画ではクレール・ドゥニ監督「バスターズ 悪い奴ほどよく眠る」(13)、クロード・ルルーシュ監督"Chacun sa vie"(17)に出演。アントワーヌ・ランボー監督作でも'13年に推定無罪に関する短編映画 "Vos Violences"で主人公の弁護士を演じている。2020年7月、フランス新内閣の法務大臣に就任。