Rainer Werner Fassbinder
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
劇作家・映画監督。1945年5月31日、連合国軍占領下のドイツ、バイエルン自由州バート・ヴェリスホーフェン生まれ。’67年に劇団「アクション・テアーター」に参加。同劇団解散後の’68年、仲間たちとともに劇団「アンチテアーター」を設立。劇団メンバーとの挑発的かつ実験的な長編映画制作を始める。’72年『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を発表、’74年にはダグラス・サーク監督にオマージュを捧げた『不安は魂を食いつくす』が第28回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞する。’78年、ハンナ・シグラを主演に迎えた『マリア・ブラウンの結婚』により、ニュー・ジャーマン・シネマを代表する監督として世界的に認められる。’82年『ベロニカ・フォスのあこがれ』は、第32回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞。バルバラ・スコヴァ主演『ローラ』(81)と合わせて「西ドイツ三部作」として知られる。’82年6月10日、37歳でコカインの過剰摂取で急死。女性の抑圧、同性愛、ユダヤ人差別、テロリズムなどのテーマを多く描き、激しい議論を巻き起こした。
PAINTINGS
「ミダス王とバッカス」 ニコラ・プサン(1594年-1665年)
17世紀、バロック全盛の時代のフランスの画家であるが、作風は古典主義的な宗教画や歴史画が多く、また制作の多くはローマでなされた。バッカス(ローマ神話における酒の神で、ギリシャ神話ではディオニュソス。ギリシャ神話中のミダス王はディオニュソス神に対し、手に触れるものすべてを黄金に変えて欲しいと願う)を主題にした作品はいくつか描いているが、「ミダス王とバッカス」はローマにおいて1629年から30年頃の制作とされる。
SONGS
「人は愛するものを殺す(Jeder tötet was er liebt/Each Man Kills the Things He Loves)」
オスカー・ワイルド(1854年-
1900年)が同性愛の罪として収監されたことを詩にした「レディング牢獄のバラード」をもとにファスビンダーの盟友でもあった音楽家ペーア・ラーベンが作曲。『ファスビンダーのケレル』(82)でジャンヌ・モローがキャバレーで歌う曲であるが、本作ではイザベル・アジャーニがドイツ語でカヴァーしている。