殺人者を匿うことになった
お人好しの‶ろくでなし″と
音楽家が織りなす人生のメロディ
Storyストーリー
お人好しで飲んだくれのジュジュ(ピエール・ブラッスール)は、仕事もせずに友人の〝芸術家″(ジョルジュ・ブラッサンス)の家に入り浸っている。ある日、南仏から警官殺しで色男バルビエ(アンリ・ヴィダル)が逃げてくる。ジュジュは〝芸術家″の家でバルビエを匿うことになり奇妙な友情が生まれる。しかし、バルビエはジュジュが密かに思いを寄せるマリア(ダニー・カレル)を誘惑する…。
Pointポイント
伝説的シャンソン歌手ジョルジュ・ブラッサンと作家ルネ・ファレ、ルネ・クレールの南仏サントロペでの出会いから生まれた。ブラッサンスは音楽を担当、劇中では演奏シーンも。『天井桟敷の人々』(1945)の名優ピエール・ブラッスールがお人好しのジュジュを熱演。ヒロイン役のダニー・カレルの小悪魔的魅力が溢れる。
Creditクレジット
製作・監督・脚色・台詞:ルネ・クレール
出演:ピエール・ブラッスール、ジョルジュ・ブラッサンス、アンリ・ヴィダル、ダニー・カレル
原作:ルネ・ファレ/撮影:ロベール・ルフェーブル/美術:レオン・バルサック
音楽:ジャック・メテアン/音楽(シャンソン):ジョルジュ・ブラッサンス
Porte des lilas/1957年/99分/フランス・イタリア/仏語/白黒・スタンダード
●1957年キネマ旬報外国映画ベストテン第六位
ジュジュ/Juju
ピエール・ブラッスール/Pierre Brasseur
1905年12月22日、フランス、パリ生まれ。’24年ルーヴル劇団の舞台で俳優としてデビュー。’35年ジャック・プレヴェール脚本の『大した奴』に出演。その後も、プレヴェール脚本、マルセル・カルネ監督作『霧の波止場』(38)『天井桟敷の人々』(45)に出演し、舞台俳優としてだけでなく、映画の世界でも世に名を知らしめる。プレヴェール脚本、ポール・グリモー監督の長編アニメーション『やぶにらみの暴君』(53)では鳥の声の吹き替えを担当。’72年8月16日、イタリア、ブルニコにて死去。
芸術家/L’artiste
ジョルジュ・ブラッサンス/Georges Brassens
フランスを代表するシャンソン歌手、作曲家であり詩人。1921年10月22日、南仏セット生まれ。工場で施盤工として働きながら、シャンソンを書き始める。’43年ドイツのベルリン郊外にて強制労働任務で働くが、逃れてパリへ。’52年キャバレー「トロワ・ボデ」に出演後、翌年ポリドールからLPを発売。ジャック・ベッケル監督作「エストラパード街」にシャンソン<雨傘Le parapluie...>を提供するなど映画音楽にも携わった。’81年10月29日ガンのため死去。
マリア/Maria
ダニー・カレル/Dany Carrel
1932年9月20日、フランス領インドシナ(現ベトナム)生まれ。父はフランス人、母はインドシナ人。3歳の時に父を亡くし、4歳の時から孤児院で養育される。パリのマチュラン演劇校で演技を学ぶ。『上級生の寝室』(53)で映画デビューを果たし、可憐さ漂う庶民的な雰囲気の容姿で人気となる。その他の出演作に、クレール監督作『夜の騎士道』(55)、ジェラール・フィリップ主演『奥様ご用心』(57)、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の遺作「囚われの女」(68)など。